With Your Own Hands...
凪の静かな洋上を進み行く船一艘。 月明かりの元、その窓辺に静かに腰掛け、それとはなしに外を眺める美女の姿がある。 今は武闘家として名高いマァムだ。 「熱を冷ますにはちょうどいい風ね...」 波の静かな揺らぎに身を任せ、汐の香りに包まれるのが心地よい。 まもなく決戦の時がくる。 この船は、現在魔王軍の拠点のひとつに向かいつつあった。もう目的地までは、さほど離れていないはずだ。 月光に照らし出された横顔が白く光っている。真剣なそのまなざし。 次の戦いは、自分にとっても区切りをつける戦いになるはずだ。いえ、そうしなければならないのよ。 いまわしき呪縛を解き放つためにも、それは... 思いをそれにはせた一瞬、マァムの顔が苦しげに歪む。よほど思い出したくない何かがあるのだろうか? 道着を着ている上からでも健康的な盛り上がりを見せる肉体美。誰もが顔を埋めたくなるような胸や、思わずしゃぶりつきたくなるような太腿がそこにはある。しかしそんな事を噂にでも口に出す者はいない。不謹慎な思いを封じ、猥褻な言葉自体を禁句とさせるような、何か不可侵な魅力というのをマァムは持ち合わせているからだ。 まだあどけなさを残す顔。見る者が吸い寄せられてしまうような、つぶらな瞳。美しいという台詞を口に出すのには戸惑いは全く必要なかった。 しかし、今のマァムには、何か以前と違うものがある。 豊かに発達した肢体は、少女らしい絹のような肌と、それに包まれた張りのあるしなやかな筋肉で構成されていたはずだ。ところがどうだ。今ではそれにとどまらず、女らしい丸みを兼ね備えてきているではないか。ここ数ヶ月で、この変化。いったい何があったのか... 以前のマァムは、例えるなら開花前の花の蕾とでもいうか、美の中にどこか角の取れない固さも見受けられたものだ。だが今やむっちりと肉がのるとでも言おうか、なんともいえない大人のオーラをまとい始めている。仄かに立ち上る女としての色香。 それにしっとり潤んだ瞳。 かつてのマァムは、こんなにはかなげな瞳をしていただろうか?もっと凛として並み居る敵をにらみ倒す強靭な意志の力を秘めていたのではなかろうか? 戦士という顔の裏には、やはり女としての魅力と弱さも持ち合わせていたというのか? その驚きと、やはりというような安堵感。 そこで、ぐっと拳を握り締める。 そう、私は変わったわ..いえ、変えられてしまったのかも...前はこんなことしたことなかったのに...あ...いけない、また! さっきもしたばかりなのに...それに魔王軍との戦闘はもうすぐなのよ! ああ..でも.... ひとりでに股間はうずき始める。甘くせつなく、そして夢幻のかなたへ誘うような... その行為が与えてくれる禁断の快楽に、近頃のマァムはどうしても抗うことができない。 やがて苦しげな吐息を押し殺すように、小鼻を膨らませて息を吐き出す。 上体を小刻みに振るわせ、唇をかみ締めていく。 部屋の中に誰もいないことを確認してから、彼女は片方の腕を胸にしっかりあてがい、もう片方は下のほうに伸ばしていく... あう!!! ど、どうして我慢できないの? そんな思いを無視するかのように、身体は淫らに熱を帯び始める.... これから遡ること数ヶ月前。 暗黒の闘気に包まれた魔王軍の本拠地では、今後の対策が検討されていた。 部屋の奥に鎮座し、ヴェールに包まれた大魔王バーンの声が周囲に響く。 「ダイが竜の騎士の本性に目覚めたとなると、この打倒、容易ではない」 「はい、パーティもレベルアップし、日に日に強さを増しています...その連係力もあなどりがたいものがあります」と、ミストバーンがその言葉を引き継ぐ。 「くだらぬ...」 ブツリと吐き捨てるようにつぶやく声の圧力に、そこに集められた幹部の者達はぎょっとする。 「友情だの、愛という名の心の結びつきが、奴らを強くしておるというのか?つまらぬ、実につまらぬ。何故ゆえに人はそのようなものを大切にするのだ?余には理解できぬ」 「でも、そこが奴らの弱点なのじゃ。強固な結びつきってのは、逆にその一つが欠けた時は案外脆いものじゃよ...そこを突けば、あいつらなんかタダのガキじゃないですか?」側に控えていたザボエラが進言する。 「ほう...それでは誰を狙うというのだ..?」 ザボエラはニヤリと笑ってその問いを受けた。 「マァムです。まずはあの生意気な女からいきましょう。武闘家を気取ったところで所詮は女。その女の急所を嫌というほど突いてやれば、堕ちるのにはそう時間はかからぬでしょう。なんと言ってもあんなに好きそうな身体をしているんですから、やっちゃわないともったいないではないですか... 」 「妖魔司教とは表の顔。お前の得意の色責めで、快楽という名の最高のテーストを味あわせるというわけか。たっぷりとその下の口に...腰がくだけるほどにな 」表情の読めないミストバーンにしては珍しく口調が軽い。 「私の前に堕ちなかった女はいないですからのぉ。猛々しい戦闘マシンを淫らなセックスマシーンに変えて見せますぞ..ククク。それにはまず捕まえて、それから...」 「それから...?」 「それは後のお楽しみということで...」 クククと再び嫌な余韻を残す笑いをすると、その姿を闇に消した。 「くふっ、ああん!!」 たまらず鼻から抜けるような声をあげてしまう。だ、駄目よ、我慢しなければ...だが一度動き始めた指の動きは止まらない。ひとりでに身体が反応を見せてしまう。 このままでは、あいつらの狙いどおりに本当に淫らな身体になってしまう... そんなのは嫌!! 心の中で幾ら反駁したところで股間に伸びた指は淫らな蠢きを繰り返している。むしろより強い快楽をむさぼろうとその動きは増すばかりだ。 「はぐ...ひ、くぅ....あああぁぁぁ...」 いつの間にか胴着をはだけ、剥き出しにした胸に直接触れていく。 片手で持つには大きすぎる乳房を緩やかに包み込み、下から押し上げるように揉みこんでいく。ゆっくりと、確実に...そうしておいてから、その先の尖りきった突起を指の腹で優しくしごいていくのだ。 ああ....うっく、あああ......き、気持ちいい...でも、このままでは... マァムの戸惑いを踏みにじるように責めの手は更に加速される。 既に蜜にまみれた股間には2本の指が出し入れされている。陰唇を広げ、中指と薬指でこすりあげるように刺激していくのだ。くちゅくちゅと湧き上がる淫靡なリズムが、恥ずかしさを与えるとともに、逆にどうしようもない自虐的な気持ちに火を灯していくのだ。 なんていうことを私はしているのかしら....早くやめなければいけないというのに...あああ... 次第に腰の奥のほうが、ジンジン痺れ始める。その意味を嫌というほど知っているマァムは、額に汗を浮かべたまま焦る。 いけない! このままでは、またイッてしまう!!! ああ、イッては駄目、これ以上イッてしまっては...また、一層... 歯を食いしばってその悦楽に耐えようとする。このままでは奴らの思いのままだ! 本当に堕ちていってしまう。しかし、やめられない! 手の動きが止まらないのだ! 「あん!..ダメ、ダメー!」 猛烈な勢いで、乳房も揉みしごいていく。すっかり上気した肌は、汗を噴出し、揉みこむたびにタプタプと淫らな音を奏ではじめる。 一方下半身では、指先が遂にクリトリスと探し出した。中指と薬指を膣内深く差し込んだまま、人差し指と親指で摘み上げるのだ。包皮を剥き出しにしたところを、ぐりぐり指でしごきたてる。 「はぐっ!!!! た、たまらない。止まらない、止まらないのよ!」 いけないことだとわかっていても、与えられる快楽に流されてしまう.... そんなに意志の弱い、淫らな女に成り下がったというの....? そ、そんなことは...ない...はず....では、なぜ...? しかしそんな問いかけもやがては頭の片隅に追いやられ、そこからも消えてなくなってしまう。迫りくる絶頂の瞬間。最後の突き抜けるような快感をむさぼることしか考えられない... 「い、いくー! いっちゃう! ああ、うぅぅぅ!!!」 全てが弾けとんだ瞬間、その身体をぐったり横たえる。痺れるような強烈な悦楽の余韻。荒げた息を静かに整えていく。 このままでは、快楽に屈してしまう... 自慰行為が終わったときは、いつもそう考えるのだ。安易に快楽をむさぼってはいけないと。自分には課せられた使命があるんだと。 魔王軍の打倒。 そして自分にはかけがいのない仲間がいる。ダイ、クロコダイル、チウ、そしてポップ... ああ、それなのに、私は何をしているのよ... 悔しさと情けなさで、マァムは泣きたくなってくるのだ。 あの悪夢のような日々を思い出す。 卑劣ともいえる計画を立てた後、マァムに狙いを定めた魔王軍は、あの手この手でその身辺に魔の手を伸ばしてきた。 そうして何重にも張り巡らされた罠の前に、遂には囚われの身となってしまったのだ。 身体をきっちり拘束されたマァムに、ザボエラは、この世で思いつくありとあらゆる快楽を加えたのであった。 ザボエラが考え出したという媚薬を無理やり飲まされ火照りきった身体を複数のモンスターにより同時に責め嬲られる。疲れを知らないモンスターは、ザボエラの命ずるままに、あくなき責めをマァムの肉体に加えるのだ。防御しきれるものではない複数多重攻撃。 幾度となく味あわさせる強制的な絶頂の瞬間。そう、数え切れないほどに... すっかり疲労し、反応が鈍くなると更に媚薬を加え、ひたすら責めたてていく。 快感をむさぼること以外に思考が回らなくなり、与えられる肉の悦びに忠実な人形へとマァムは変えられていく。やがて快楽は肉になじみ、その味が身体の奥底に刷り込まれていくのだ。そう、それが魔王軍のねらいだったのだ。快楽による肉体の改造...色責めによって高貴な戦士のプライドをずたずたにひきさいていく... あるときは、一昼夜にわたって焦らしまくり、マァムが泣いて求めても決して最後まで満足させないこともあれば、息もできなくなるくらいの連続絶頂責めも平然とやってのけたりする。その変幻自在のザボエラの術中に次第に絡めとられていく自分を、心の奥底では叱咤しながらも、ろくにあらがいもできず、身体が溺れていくのが手に取るようにわかるのが、歯がゆかったのだ。 そうしていつまでその地獄のような快楽責めが続くかと思われたころ、不意にザボエラがマァムを開放したのである。
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